FC2ブログ

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

トリスケリオンPさん主催『第三回一枚絵描いてみm@ster』企画参加作品。

kakimaster03.jpg


 桜色ヴィジョン


 「律子さん、幽霊って信じますか?」
 「信じない。というか、私は春香の行動が信じられない」
 と、ツインおさげに眼鏡が凛々しい仕切り屋性分の少女=秋月律子は天海春香を指差した。
 頭の両端にお馴染みのトレードマークたるリボンを結んだ春香は、桜色に染まった地面からひらりと踊った花びらを掬いながら、なんのことでしょう? と首を傾げてみせる。明後日の方向に視線を投げた仕草をする春香は、手の平に載せた花びらを目の前の“七輪”に何事もなく放る。
 いや、何事もなく、なんて話もあるまい。
 桜の花びらを七輪で焼くだなんて、一体どこの馬鹿の所業だ。
 「いやぁ、とても綺麗だったので焼いても美味しいんじゃないかなって……」
 ここの馬鹿だった。
 どこともなく取り出したハリセンですぱんっと春香の後頭部を居合い叩きした律子は、溜息も勿体無いという風体で、地面に敷いたビニールシートに腰を下ろした。
 視界には桜の花びらが、あるいは粉雪のように、無造作に生え茂る桜の木から舞い落ちてくるのが広がる。一面を桜の森と化したその光景は、それこそ柔らかな春の色で世界が満たされているようにも感じた。御伽噺のような桜の森。加えて空も快晴とあらば、これ以上の花見日和もそうそうあったものではないだろう。
 花見。そう、花見である。
 季節は春。東京の端にあるこの丘は、桜の木々が文字通り乱立しているスペシャルなスポットとして有名だ。誰が土地を整理しているわけでもなく、土地開発の過程でそのまま取り残された野生の桜の集まりは、知る人ぞ知る花見名所として名を馳せている。
 そういう場所に、律子と春香がこうしているのは、もちろん場所取りのためだった。
 一悶着あった961プロとの問題も一段落つき、それを通して765プロのアイドルとなった我那覇響と四条貴音の歓迎会も兼ねて、盛大に花見をしようと打ち出してきた高木の案は、満場一致にて可決と相成ったわけで。尖兵として駆り出された律子と春香はただいま、絶賛待機中である。
 「しっかしまぁ、綺麗な場所もあったものねぇ」
 筆舌に尽くし難し。この言葉はこういう場所のためにあるのだな、と認められるくらい目の前の光景は凄かった。桜色のペンキをぶちまけたって、こうも一色には染まるまい。
 時計を確認する。仕事の都合上、全員集合するのは大分遅くなる予定だった。たまたまスケジュールに空きがあったからとはいえ、長時間待たされるのは、抗いようのない場所取り役の運命である。
 「で、そういえばなんで幽霊なのよ」
 暇潰しにと話をぶり返す。七輪を片付けながら春香が、
 「いえ、小耳に挟んだんですけど、最近出たらしいんですよ」
 「ここで? 幽霊が?」
 「ほんの噂程度なんですけどね。ここに来る前にテレビ局で聞いたんですよ」
 春香は辺りを見回し、手の平を口横に寄せる仕草を取り、
 「ここ、ちょっと前まで団地建設で平地にされそうになってたじゃないですか。それを恨んで、桜の幽霊が化けて出たんじゃないかって私は考えてるんですけどね」
 「馬鹿らし。桜の幽霊ってなによ」
 肩を竦めて見せると、春香は両手をぶらりと前にぶら下げる格好で、うらめしやー、とほざくのでハリセンで頭を上段一閃しておいた。
 その流れで、律子はつい最近までこの丘を取り巻いていた状況を思い返した。
 ほんの少し前、この丘は団地建設の煽りを食らって平地にされることが決まっていた。無論、桜の木々共々。これほど見事な桜の集まり故、一時期ニュースでも取り上げられたこともあるくらいだ。
 そんな中、突如として計画は頓挫になった。どこぞの富豪が、桜の木々に魅せられたのかどうか知らないが、この周囲の土地丸ごとを買い取ったのだ。結局、団地建設は白紙に戻り、さして何事かをするでもなくこの丘は一般解放されて久しい。
 物好きな金持ちがいるものだなと律子は考えたが、せっかく買い取った場所に幽霊が出たのでは気の毒だ。腕を組んでこっくり首を傾げた律子は、不意に、目の前の天海春香の様子がおかしいことに気づく。
 「お腹が空きました」
 「だから花びら食べてお腹壊さないでよね……」
 だが、延々と座っていれば空腹にもなる。確か、少し先の坂を下りた所に屋台と売店があったはずだ。それを教えると、春香は目を輝かせて走り去っていった。ちゃんと私の分も買ってきてよー。承知! と手を振る春香の姿が遠ざかるのを見届けて、今度こそ、律子は手持ち無沙汰になってシートの上に寝転がった。
 風が気持ちいい。春、とはいえ花見シーズンのピークは若干過ぎているために客は少なく、周囲には自分しかいない。客足が遠のき、店仕舞いをする店舗のように、桜も徐々に散りつつある。
 「今年の桜も閉店間近か」
 呟く。少し寂しさを覚えながら、律子はつと顎を上げた。
 寝転んだ先、シートの端には一本の桜が雄々しく立っている。ここから動かぬと主張するかのように根を張った太く逞しい幹。悠然と咲き誇る五枚の花弁数多。逆さになった視界から見ても、とても立派なものだとわかる桜。
 ところが、そこで律子は奇妙なものを発見した。
 「なにかしら、これ」
 律子は目を瞬かせてからゆっくり起き上がり、桜の樹皮に視線を注いだ。無数の深いしわのような樹皮の面には、なにやら文字らしきものが縦に刻まれている。文字? と首を傾げた律子は詳しく調べようと手を這わせた。
 その時である。
 「もし、少し、よろしいでしょうか?」
 背後から突然、それも至近距離で声をかけられて、律子は思わずひゃっと飛び上がった。桜吹雪の風が息を吐きかけられているようで。
 恐る恐る振り返ると、そこには、奇妙な人物が立っていた。
 桜色の、奇妙な女性だったのだ。
 いや、奇妙と表現にするのは些か語弊があるだろう。奇しくて妙な人物どころか、彼女は驚くほど、それこそ目の醒めるような美人であったのだから。
 墨を流したように美しい黒の長髪を鮮やかな漆塗りの髪留めで後ろに束ねており、それとは対照的に肌は眩しいまでに白い。白と黒の見事なコントラストを生み出す顔立ちは、すっと伸びたまつ毛や薄くひいた口紅のおかげで妖艶かつ凛々しく見えるが、わずかに下がった目尻はどこか優しげな雰囲気を彼女にもたらしていた。
 なにより目立つのは、彼女を桜色と表わした理由たるその服装だ。
 桜の花を中心に模様をあしらった桜色の着物。赤と白の帯もこれまたマッチしており、まるで、桜の木が人の形を成したかのような、そんな印象すら受ける。
 加えて足には足袋と草履。あれは着物姿を常としている人だな、と律子はすぐに分かった。立ち姿といい雰囲気といい、一度二度着物を着た人間には出せない“味”が彼女にはある。少なくとも、只者ではない。
 しかし、何故だろうか。その姿が物悲しく思えてしまうのは。
 「お願い事があるのですが、聞いていただけませんか?」
 再び問われ、観察する視線を慌てて引っ込めた律子は、自分が半ば寝転がっていることに気づいて、慌てて立ち上がった。くすりと微笑む女性の姿は様になって、思わず頬を赤らめる律子であった。
 「はい、なんでしょう?」
 「実は、探している人がいるのです。一緒に探していただけませんか?」
  え? と。さすがに少し訝しげな表情になってしまう。あまりにも唐突な“お願い”。見ず知らずの人間に頼むことでもあるまいに。
 「あの、あなたは?」
 「あっ、失礼しました。私の名前はサクラと申します」
 いや、そうではなくて。いや、まぁ、でも名前もそうなんですけど――。なんとも言えない心情になって渋い表情を作る律子は、なんだかずれた人だな、と頬を掻く。それでも真剣な表情を崩さないサクラという人物に、律子は不思議と彼女を追い払えないでいた。無視できない不可視の引力みたいなものが、彼女には働いている。
「あなた以外に頼る人がいないのです」
 サクラは顔が隠れるほどに頭を下げた。頼れる人。切実な色を声音に滲ませたサクラに、仕方がなく、腰に手を当てた律子は、うんと呻りながら頭を悩ませる。
 正直、唐突過ぎて頭が回りきっていないのだが、例の引力というか、あるいは魔性的な何かが彼女の助けになろうとする自分を後押ししていた。身も知らず、初対面の人物相手に、わざわざ願いを聞き届ける義理などないというのに。少なくとも普段の秋月律子なら適当に巻いていたかもしれない。
 ただ、言い訳のような言葉を絞り出すならば、律子はひどく暇だった。
 退屈だったのだ。
 しばらく考え込んでから、自分の長所でもある思い切りの良さを発動する。
 「その探し人の居場所に心当たりはあるんですか?」
 「この丘を下りた先に住んでいるはずなんです」
 「なんだ、目星はついてるわけですね」
 ならば、と。秋月律子は靴を履き直して地面に立った。ちょうどフランクフルトやら焼きそばやらを抱えた春香が戻って来るのを確認したので、ケータイを取り出してさっそくナビ機能を起動する。あれだけ食料があれば当分は食い繋ぐだろう。
 「分かりました、付き合いますよ。私の名前は秋月律子です。よろしく」
 「助かります、秋月さん」
 そう言って再び頭を下げるサクラ。礼儀正しい人だなと苦笑する一方、無条件に彼女の願いを聞き入れた自分に対する疑問が過ぎりもする。そう、おかしい。けれどそれをはっきりと認識するよりも早く春香が近づいて来たので、律子は思考を破棄した。時間はたっぷりあるのだ、人助けに使っても悪くはあるまい。
 「春香、私ちょっと用事済ませて来るからぁ!」
 「えー、ちょっと待ってくださいよ! 一人で遊びにいかないでくださいよぉ」
 駆けて来る春香に手を振って、律子はサクラを伴って丘を下り始めた。
 桜の森が喜んでいるかのように身を揺らした。

                  ●

 丘を下ると昔ながらの下町染みた街角に出る。とはいえ、最近は土地開発の一環で近代化の進行も凄まじく、ここ数年で真新しくなった町並みが過去の記憶を塗りつくしつつあった。あの丘の工事もそれに一因している。
 律子はケータイのナビ機能を使って地図を最新のものに更新すると、まずサクラに問うた。ケータイの画面を見せながら、
 「これが最近の地図なんですけど、その人の住んでいる場所の心当たりは?」
 「はぁ……。最近は便利なものも出回っているのですねぇ」
 「そうですか? ナビなんて然して珍しくもないと思いますが……」
 さては度の過ぎた箱入り娘なのだろうか。新しく765プロに入社した四条貴音もまさにそういう人物で、浮世離れしている様子が彼女に重なった。古風溢れる着物姿も、現代離れした大和撫子然とした容姿も、そういうことなら納得できる。というか、納得できてしまえるだけの環境に取り巻かれている自分に、律子は苦笑。
 サクラは画面を凝視すると、しかし、首を傾げた。
 「記憶にあるものと違っていて」
 「まぁ、ここ数年でここら辺も大分変わったみたいですからねぇ。記憶にあるのって、どれくらい昔なんです?」
 「えっと。とっても、とっても昔なんです」
 「子供の頃とかですか。じゃあ、結構変わってしまっていますよねぇ」
 これはなかなか難航しそうだぞ、と腕を組んだ律子は悩ましく表情を歪めた。顎に手を当てて考え込んだ律子を余所に、ケータイをしげしげと眺めているサクラは、不意にはっとした表情を作ると、ここ覚えがあります、と興奮気味に人差し指を画面に向ける。
 そこは大きな公園だった。その横には川が流れており、そこに覚えがあるという。“川沿いの公園”というキーワード。手掛かりはそれしかない。必然として、二人は公園へと向かうこととなった。
 公園の歴史はそれなりに古いと、記念碑のオブジェに刻まれた文章から知れた。住宅地と川に挟まれた公園は、緑の芝生が広がる以外、特に飾り気のない場所だ。丘から風に乗ってきた桜の花びらが鼻先に乗り、くしゅんっとくしゃみを漏らした律子は顔を赤らめながら隣のサクラを伺う。
 右往左往、視線をあちこちに向けたサクラは、だが戸惑っている様子が否めない。ここも変わってしまっているのだな、と律子が察したのと同時、サクラも残念そうに首を振ったのだった。
 「公園と川。記憶にあるのは間違いないんですけど、情景が……」
 「でも他に川沿いの公園なんてないですし」
 「本当なら、川沿いの公園近くに探している人の家があるはずなんです」
 「そうですか……。少し、休憩しましょうか」
 歩き疲れを気遣い、公園にあるベンチを示す。律子はともかく、着物姿で延々と人を捜し歩いていたら疲れもするだろう。頷いたサクラの様子も本人の疲れを肯定していた。
 ベンチに座って背もたれに身を預けると、律子は次の打つ手を考えようと頭を回す。しかし、よくよく考えれば探し人の名前も顔も、律子は知らない。全てはサクラに委ねているようなものなのだ。
 着物姿の大和撫子。サクラという名前しか知らない女性。言ってしまえば、彼女が置かれている状況も事情も律子は把握していない。
 故に、サクラに質問しようと思い立ったのは当然の流れだといえる。
 「探しているのは、恋人なんです」
 問うた矢先、まず第一声でそう返ってきたので、律子は目を丸くした。恋人。口の中で反芻し、サクラも微笑を浮かべて頷く。
 「昔、ある事情で離れ離れになってしまって以来、彼には会っていません。もしかしたら、もう、この街にはいないのかもしれません」
 「それでも、彼を探しに、わざわざ?」
 「はい。会いたくて、会いたくて、仕方がないんです。ずっと想っていましたから。あなたには、そういう殿方はいませんか?」
 大きくて丸い宝玉のような瞳に見つめられ、律子は息を呑んだ。そんな人いないですよ。そう言い切れてしまう自分にちょっと落胆。
 だってそうだろう。自分もすでに十八だ。アイドル活動で忙しいとはいえ、そういう色恋沙汰の一つや二つあってもおかしくないだろうに。彼女のように一途に想い続けられるような相手。羨ましいな、と思う。いつかは自分もそんな恋ができるだろうか。羨望が視線に宿ったのか、サクラは、できますよとまた笑った。
 しばらくして再び探索を開始する。けれども“川沿いの公園”を中心に住宅街を回ってみたが、一向にしてサクラの探し人は見つからず、彼の家がどこにあるのかも掴めずに歩き回る羽目になった。
 結局、夕焼けが世界を照らし出すに至るまで、律子とサクラは歩き詰めて。
 「律子さん、ありがとうございました。もういいんです」
 後ろを歩くサクラが切り出し、えっ、と律子は振り返った。立ち止まった彼女に夕日が重なり、逆光が表情を隠したが、その悲しげな雰囲気だけは隠せない。未練があるのは当たり前。想っている人に会えないのだから。
 「私はあの公園で待とうと思います」
 「待つって……」
 「もしかしたら彼が通り過ぎるかもしれません。それに川沿いの公園という記憶しか、私にはありません」
 ですから、もういいんです。ありがとうございました。そう言って頭を下げられてしまえば、何も力になれなかった手前、引き下がる他ないのが律子の立場だった。
 夕暮れが黄昏色に世界を染める。律子の影が、彼女に重なるようにして長く伸び、サクラの願いを聞き遂げてあげられなかった後悔が尾を引いているように、律子には思えてならなかったのだった。

                  ●

 「律子」
 「千早、仕事終わったの?」
 春香の待つ丘へと戻る途中、同じく合流しようとしていた如月千早に出くわした。彼女の実直さを表わしたように真っ直ぐな長髪が風で踊る。凛とした瞳が律子の姿を捉え、そこに映った自分の姿に律子は嘆息した。何をそこまで。初めて出会った人物の、突発的な願いだったのに。
 自分はどうして表情を暗くしているのだろう。
 千早はわずかに駆け足で律子の隣に並び、歩調を合わせる。
 「何かあったの?」
 視線を前に向けたまま千早が言った。顔を見ないでくれるのはありがたい配慮だ。落ち込んだ表情は、自分の弱みを握られるようで、気持ちのいいものではない。千早と知り合ってもう一年。お互いにそういう配慮ができるくらいには、関係が発展したということだろう。良いことだ。
 でも、悪いこともある。甘えたくなってしまうから。
 サクラの願いを叶えられなかったことに落ち込む自分がいる。彼女の願いを叶えたいという自分がいて、その不可思議な気持ちが、あの時自分の腰を上げさせたのだと律子は今になって気づいた。
 そう、その気持ちは不可思議だった。漠然としていて、ぼんやりとした形のない不定形だった。
 自分の心の泉。その縁に立ち、きらきらと光る“不可思議”を掬い上げると、形のないそれは手に収まる。形の分からない何か。
 そんな不確かなものを千早には話せない。否、説明ができないと言った方が正しいだろう。サクラのことも、自分の気持ちも、砂となって指の隙間から零れていってしまいそうなあやふやさなのだから。
 答えに詰まった律子を見かねて、千早は別の話題を切り出した。
 「私、知り合いがこの辺りに住んでいたから覚えがあるのだけれど、ここの風景もずいぶん変わってしまったみたいだわ」
 千早は周囲を懐かしむように眺めながら、
 「数年前だったかしら、ここは――」
 と、続けられた言葉が律子の耳に飛び込んでくる。
 ばっ、と俯いた顔を上げた。上げざるを得なかった。
 「千早、その話詳しく聞かせて!」
 「ど、どうしたのよ、突然」
 「いいから! 聞かせてちょうだい!」
 千早の肩を掴んで揺らす。前触れもなく大声を張り上げた友人に目を丸くしながらも、千早は律子の矢継ぎ早に繰り出される質問に全て答えてやった。
 そうか、そういうことか。我知らず呟いていた言葉は、足元に落ちて弾け、それをスタートの合図に律子は踵を返して走り出していた。ちょっと、どこへ行くのよ! 背後から追ってくる千早の声に、後ろ手を大きく振りながら、
 「ちょっと自分の気持ちに納得してくるから!」
 どういう意味? と疑問符を浮かべる千早を置いて、律子は駆ける。まだ、あの人はあの場所にいるだろうか。

                  ●

 幸いなことに、サクラは公園のベンチに座ったままだった。静かな表情で、いや、今にも消え入りそうな面持ちで、道すがらに視線を向けている。ずっと恋焦がれた恋人を探し続けていた。
 「サクラさん!」
 荒立てた息を整えながら、律子は額の汗を拭った。運動不足だな、ダンスレッスンを増やしてもらおうか。他愛もないことを考えながら、こちらに振り返ったサクラに向かってにっと歯を見せて笑う律子。
 対してサクラは驚きを禁じないようであった。どうして? 震える声で紡がれた疑問。もう諦めかけていたところなのに。じわっ、と。サクラの目尻に涙が浮かぶ。
 「納得いかないんですよ、私自身が。あなたを助けようとした私自身の気持ちがね」
 そうだ、これは自分のための行動。あの不可思議で不定形の気持ちが何なのかを知るための行為。それがサクラのためになるのなら、これ以上一石二鳥な話はあるまい。
 秋月律子は知略と機転で駆け上がってきたアイドル。手に入れられるものは逃さないし、二兎を追って二兎手に入るならどちらもいただく。私は、結構欲深い人間なんですよ。腰に手を当てて誇らしげに胸を張った律子に、サクラは、呆気にとられるようにしてきょとんとした。
 「ついて来てください。あなたの探し人、もしかしたら見つかるかもしれません」
 サクラの手を取り、律子は歩き出した。かつかつと、踵を鳴らして迷いなく。
 向かった先は川沿いとは逆方向。住宅地の更に一つ道を行った先だった。サクラの言った唯一の手がかりである川沿いの公園はどんどん離れて、住宅地の側へと歩を進めていく。サクラの表情に訝しげな色が翳るのを理解しながら、それでも律子は歩みを止めなかった。自分の考えを信じて。
 そして住宅地でも比較的に古い建物の集まる辺りまで来た時、不意にサクラの足が止まった。彼女の目が見開かれて。
 「あった……」
 サクラの視線の先には、趣深い、瓦屋根の家が建っている。門構えといい雰囲気といい、それだけで古き良き家柄を感じさせる雰囲気が、その家にはあった。表札には“風谷”とある。ここですか? と尋ねると、サクラは間違いありませんと間髪入れず頷いた。全てが変わってしまった風景の中で、この家だけが変わっていない、と。
 でも、謎が残る。
 「どうしてこんな所に……。川も、公園も、ここからは何も見えないのに」
 「私もさっき友人に話を聞くまで知らなかったんです。実は十年前、この周辺で区画整備があったらしいんです」
 サクラの言う通り、公園の近くに、本来この家はあった。しかし大々的な区画整備のため、巨大な敷地を誇った公園は“真っ二つ”に割られ、半分は川沿いに、もう半分は住宅地として家屋の建設が進められてきたというのだ。
 見つからないのも無理はない。そもそも街の形そのものが変容していたのだから。
 「でもですね、サクラさん。どうしても理解できないことが一つだけあるんですよ」
 律子は沈みかけた夕日を眼鏡に反射させながら、縁を片手でくいと上げた。眼鏡の奥の瞳は間違いなくサクラを捉えている。が、律子にはその姿が、自分の抱えた気持ちと同じに、不可思議で不定形のもののように見えた。
 一拍置いて、口を開く。謎の解明を求めて言葉を吐き出す。
 「あなたの言っていた“川沿いの公園”。そんなものは“無い”んですよ」
 いや、正確には、“あった”と言うべきか。
 「元々この周辺から見える範囲に川なんて流れていません。いえ、流れてはいました」
 区画整備が行われるよりも遥か昔、
 「五十年以上前に」
 風が吹き抜けた。サクラの息を呑む音が攫われて、掻き消える。
 遡ること五十年以上昔、確かにこの周辺には川が流れていたらしい。だが、嵐による洪水などの被害があったため、現在の川まで水が引かれ直されていたのだ。千早がこの話を聞き及んでいなければ、疑問すらなく、律子はこの場所まで辿り着けなかっただろう。謎を解決する代わりに、新たな謎を生み出しはしたが。
 サクラが提示した“川沿い”の公園というピース。
 それは遥か昔の人間でなければ知りえない記憶の断片のはずだ。
 解せない、と。律子はサクラに言った。
 「あなたは一体何者なんですか? あなたは――」
 「おや、ウチに何か御用かな」
 と、背後からかけられた声に張り詰めた空気が弛緩した。
 後ろ、門の入り口には老人が立っていた。白髪と白髭を蓄えた季節外れのサンタクロースのような人物で、柔和な笑顔がとても印象的だった。外見から察するに八十近いであろう老人は、しかし腰も曲がっておらず、二本の足でしかと大地を踏み締めている。何故か、その姿はあの丘の桜の木の、茶色く太い幹を連想させた。
 律子が何かを言う前に、老人は手招きして、
 「さぁさ、お若いの、話があるのなら中にお入り」

                   ●

 招かれ、案内された応接間らしき一室は、家屋の外観に負けぬ立派な書院造りだった。襖一枚を隔てて、庭沿いに続く縁側があり、壁の回り縁には額縁に入った様々な賞状が飾られている。こんな広い家に一人暮らしなのか、人気はない。
 一旦律子を部屋に通してから消え、再び現れた風谷老人の手元にはおぼんに湯飲み。律子とサクラが二人して立ち竦んでいると、
 「どうしたんだい? 座って構わないよ」
 すでに用意してもらっていた座布団に視線を投げた風谷老人だったが、律子は、戦慄染みた感覚に動けないでいた。嫌な予感。まさかの推理。馬鹿なと頭を振りたくなるような思考が身体を支配し、それを振り払おうと、律子は乾いた声を漏らした。
 「でも“座布団が一つしかありません”」
 それに、おぼんに載せる湯飲みも“一つだけ”。そして、この家に通されてからというものの、風谷老人は“律子しか見ていない”。
 まるで“サクラという女性が見えていない”かのように。
 風谷老人は首を傾げてこう言った。
 「はて、君以外は誰もいないじゃないか」
 恐る恐るサクラを見る。自分の隣にいる――いるはずの、桜色の着物姿の大和撫子。額に汗が流れる。動悸が激しい。視界がわずかに揺らぐ。それでもなお、秋月律子にはサクラの姿が間違いなく見えている。彼女はここにいるのだと、自分の脳が認識している。それなのに、風谷老人の吐き出した言葉の、なんと異なこと。
 春香の言っていたことを思い出した。
 律子さん、幽霊って信じますか?
 「うそ……」
 こちらを見つめ返したサクラは、困ったように微笑を浮かべる。まるでこちらの考えを見透かし、肯定するかのように、だ。
 桜色の着物の“幽霊”。
 桜色の幻影。
 思わずあげそうになった悲鳴を辛うじて喉奥に押し込めた律子は、ふらりと一歩よろめいた。おやおや、大丈夫かい? 平気です、気にしないでください。風谷老人を手で制した律子は、自分にしか見えない女性を改めて瞳に映す。
 「座りましょうか」
 すっ、と畳に正座したサクラは、ぽんぽんと隣の座布団を叩いた。座れってそんな暢気な。加熱した思考=熱を帯び始めた額を拭いながら、しかし、律子は素直に腰を下ろした。否応なく、そうするしかないような気がしたのだ。
 同じく座布団を引っ張り出して座った風谷老人は、そのまま無言で、律子が話し始めるのを待っていた。不思議な人だな、と律子は感想を抱いて。
 ……どうすればいいのよ。
 この家に用があるのは自分ではなくサクラだ。だが幽霊である彼女は黙して語らず、風谷老人には姿すら見えていない。どう説明すればいいのか、きょろきょろと言葉を求めて泳いだ瞳が、つと見上げた先で一つの賞状を映した。そこにはとある会社の名前が記されており、律子はその会社に覚えがあった。
 「あの、あなたはもしかして、以前にあの桜の丘を買い取った……」
 「如何にも。私の会社で買い取って今もあの形で残している。あの桜の木々は、私にとって大事なものでね、なくすわけにはいかなかったんだ」
 「……お聞きしても?」
 興味本位、ではある。けれどそれ以上に、これがサクラの秘密を知る鍵だと己の直感が囁いたのだ。
 律子は見逃さなかった。風谷老人が丘の名前を口にした時、サクラが愛おしげに、でも儚げに、目を伏せたのを。
 構わないよ、と笑顔を濃くした風谷老人。この歳になると、思い出話は語らないと薄れてしまいそうで、怖くてね。
 「昔の話だ。もう、五十年以上前になる。私には恋人がいたんだ」
 幼い頃から共に育ち、共に遊び、共に笑って、必然のようにやがて相愛になった恋人がいた。二人して毎日のようにあの丘に通い、春夏秋冬、寝転がったり、他愛もない話をしたりして、愛を育んでいた日々。いつまでも続くと信じていた日々。
 淡い青春の過ぎ去りしあの日よ。
 だが、二人にはどうしても一緒になれないわけがあった。風谷老人の父親と恋仲にあった女性の父親は、古くから因縁のある関係で、互いの経営する会社もライバル関係にあったのだ。無論、そんな父達が二人の関係を許すはずなど、なかった。
 そんなある日、記録的な大嵐が来襲し、街に流れる川が大きな氾濫を引き起こしたことがある。今と違ってきちんとした氾濫対策もない時代、川の水が溢れれば大変なことになるのは明白。今日の記録にも死傷者が出たとされている。
 その中には、若い女性の名前もあった。
 「あの日、私は彼女と、あの丘の桜の木の下で落ち合う約束だった。父達に見つからぬよう隠れて。子供の頃から通い詰めたあの木の下に。嵐が来るのは分かっていたが、私はずっと待ち続けた。きっと彼女も来ると分かっていたから」
 しかし彼女はいつまで経っても姿を現さなかった。
 彼女が、丘に向かう途中、氾濫した川の水に飲まれたことを知ったのは、それから間もなくのことだ。
 ――言葉を区切り、一つ大きく息を吐いた風谷老人は、立ち上がって庭に続く襖を開ける。すっと光が差し込んできて目を細めた律子は、光の白に目が慣れると同時、広がった光景にあっと驚きを漏らした。
 桜の木がある。小さいながらも桜の花を咲かせた立派な樹木。樹木の奥に堂々と横たわる山並みに消える夕日の、明と暗の境に影を伸ばした幻想のような光景は、咄嗟に感動の言葉すら出てこず、ただただ魅せられ、見惚れてしまうものであった。頬がかぁっと熱くなって目頭に熱が宿る。黄昏の、桜。
 「見事だろう? あの丘にあった小さな若い桜を移したものだ」
 「なんだか……凄く綺麗ですね。月並みな言葉で申し訳ないんですけど」
 「いや、単純な言葉だからこそ気持ちも篭るものだよ」
 「何故、ご自宅の庭に?」
 「……怖くてね」
 彼女が亡くなった瞬間、のうのうと待ち侘びていただけの自分が憎くて、悔しくて、怖くて。あれ以来、風谷老人はあの丘に出向けないでいた。そうしていつの間にか、遂には身体が言うことを利かなくなって。それでも、募りに募った未練は消し去りようがなく、せめてあの丘の桜を見ていたいと、“ズル”をしたのだ。
 卑怯な人間だな。吐き捨てられた己への罵倒。
 もう私も長くない。さりげなく零された言葉に、うなだれる。寂しいことを言わないでください。悲しい気持ちになった律子は、縁側で背を向ける風谷老人にその視線を注ぐサクラに気づいた。そうだ、聞かなくてはいけないことがある。――否、聞かなくても答えは見当がついた。
 恋仲であった女性の名前。あの丘でサクラと出会ったわけ。彼女の記憶が古い理由。律子に託された願いに秘められたたった一人の男性の正体。
 律子は搾り出すように言葉を吐き出した。
 「その恋仲であった人の名前は、サクラさんと言うんじゃないですか?」
 すると、勢い良く振り返った風谷老人の瞳に驚愕が宿っていることを確認し、確信する。ああ、やはりそうなのだ。
 瞬間、理性を振り切って律子は叫んでいた。
 「いるんです……! サクラさんはあなたに会いに来てるんです!」
 「どういうことだい? 何故、君がサクラのことを――」
 「気づいてあげてください! ほら、私の隣に彼女はいるんです! なんで見えないんですか! ほら、いるでしょう!?」
 律子は座ってサクラの手を強引に掴んで立ち上がらせ、風谷老人の前に突き出した。律子には彼女が触れた。自分の手の平には、彼女の温もりが確かに実感として存在しているのに。それなのに。自分に見えても仕方がないのに!
 状況を掴めない風谷老人に業を煮やす律子は、だが、それを解決する術がない。
 「律子さん、いいんです。私、彼に会えただけで嬉しいですから」
 「いいわけない! だったらなんで私の前に現れたんですか!」
 会いたいからだろう。会いたくて会いたくて、この世に留まり続けるくらいに会いたくて。ずっと、ずっとあの桜の木の下で待ち侘びていたのだろう? それなのに。目の前に愛した男性がいるのに。いいわけがない。あって堪るものか。こんな結末のために自分は行動したわけでは断じてない。
 零れた涙が律子の頬を濡らした。
 「サクラさんはここにいるんです!!」
 張り上げた叫声だけが、虚しく、沈む夕日の山並みに吸い込まれていった。黄昏が終わり、暗闇が世界を包み込んで。
 静寂。
 沈黙。
 ――声。
 それは奇跡だったと、将来、過去を振り返った律子は思う。
 「サクラ?」
 ばっと顔を上げた。目の前には夜桜へと衣装変えした桜の樹木があり、知らぬ間に、サクラは庭に出て桜の木の下に佇んでいた。夜空に浮かぶ月のライトに照らし出され、さらさらと落ちる桜の花びらに包まれた彼女は、まるで桜の精だ。
 その姿を“視て”、風谷老人が再び呟く。
 「サクラ……!」
 靴も履かずに庭に飛び出した風谷老人は、一歩一歩、確かな現実を噛み締めるように地面を踏み締めてサクラに近づいていく。驚きは彼だけではない。サクラの抑えきれない大粒の涙が、彼女の心情を物語っている。それを、秋月律子は無言のまま、映画のワンシーンを見るような気持ちで眺めていた。
 「私が、見えるの?」
 「ああ、見えるよ。君が見える」
 ずっと謝りたかったんだ。
 「何もできなかった自分が許せなくて、君との約束の場所に、行くことができなかった」
 「いいの、謝るのは私の方。あなたに会いにいけなかった」
 「だが、こうして会いに来てくれた。老いぼれたこんな私のところに」
 「関係ないわ。どんなに姿が変わっても私はあなたを――」
 「私もだ。私もずっと君を――」
 愛していたのだから。
 刹那、抱き合った二人の姿が、遠い昔の、若かりし頃の姿に変わったのを律子は幻視した。これが結末。五十年の時を超えた再会。例えそれが因果を歪めた悲しい再会であっても。時は戻らなくても。
 二人の愛は本物だったから。
 きっと、ハッピーエンドに間違いないのだ。

                    ●

 憧れ、だったのだろう。
 秋月律子の心の泉から掬い上げられた不可思議で不定形のものの正体。まだ恋とか愛とかに不慣れで、憧れだけが大きくなった律子の元に現れた“純粋な恋心で身体を成した幽霊”は、律子の心に無意識下で憧れを抱かせたのは、ある意味当然だったのだろう。故に初対面のサクラに対して、協力しようという気持ちになったのだ。
 小説のような恋物語を夢見る乙女の願望。桜の、不思議な魔力が生み出した一時の夢幻。
 桜色ヴィジョン。それこそが、幽霊=幻影(ヴィジョン)であるサクラと律子を巡り合わせ、今回の出来事を引き起こしたのではないだろうか。
 兎にも角にも、こうして物語の幕は閉じた。
 ――はずもない。
 「天海春香、隠し芸やりまーす! ……アクションゲームでよくある壁を殴った時の跳ね返り具合」
 如月千早の胸を軽く殴る真似をしてオーバーアクションに弾かれた真似をしたら格ゲー張りのコンボで地面に叩き伏せられた春香に合掌して、律子は何杯目かの甘酒を煽った。酔いたいな、と。本物の酒でもない甘酒にすがりながら律子は思う。
 本来のメインイベントである花見は、もはや勢いだけの隠し芸大会へと移行しつつある。見事な夜桜が台無しだ。
 「今日の秋月律子はどうしてしまったのかしら」
 ふと顔を上げると、先程春香をKOした千早がこちらにやって来るところだった。樹木に寄りかかって座っている律子に倣って隣に腰掛けた千早は、律子から甘酒を取り上げる。いいわよ別に、まだあるから。新しいコップに甘酒を注ぐ友人に、今日のあなた変よ? と千早は心配げに眉を潜めた。
 変にもなる。当たり前だろう。
 「ありがとう」
 サクラが最後に言った台詞で、谷風老人が家を出る律子に投げた言葉でもある。
 サクラは谷風老人の腕の中で笑顔のまま消えた。天国へ旅立ったのか、存在自体が消えてしまったのか。今になって思えば、彼女はきっと、季節が過ぎて桜が全て散ってしまう前に、谷風老人に会おうとしたのだろう。もう一週間もすれば、この丘の桜も閉店だから。
 この話はハッピーエンドだったはず。そう自己完結したはずだけれども、心の中でもやもやの消化し切れない自分もいた。
 二人は本当に幸せだったのかどうか。いや、それも無粋な推察だ。恋愛小説のように、綺麗に心情が片付くほど、現実の気持ちは理論的にできていない。また、それを綺麗に脳内完結できるほど律子の恋愛経験値は高くなかった。
 呼びかけても生返事しか返ってこない律子に、千早は嘆息して樹木に背中を預けた。と、千早の目がある所で止まる。なにかしらこれ、という呟きに、適当に律子も視線を投げる。視線の注がれる場所。そこには、文字のようなものが刻まれていた。
 「これは……」
 サクラに出会う直前に見つけたあれだ。記憶から掘り出して、目を細めてみる。
 そこにはこうあった。
 「二人の気持ちがいつまでも一つでありますように」
 ……泣くな!
 つんと鼻頭が熱くなって、込み上げてきた水分を律子は必死に堪えた。
 「律子?」
 「ねぇ、千早。好きな人を、死んでも愛し続けられることって、幸せなことなのかしら。それとも苦しいことなのかしら」
 「それは……」
 千早は面食らって言葉に詰まった。それでいい。律子もまた、答えなんて分からないのだから。
 いつか大人になって、たくさん恋をしたら、この気持ちを納得できる時が来るのだろうか。
 それまでこの桜色の思い出は胸にしまっておこうと、秋月律子は固く心に誓った。
 月明かりに照らされた桜の木は、あの二人が寄り添って微笑んでいるように見えた。



コメント

遅ればせながら拝読致しました。

恋愛とは記憶である。連綿と連なる時間の中に流れる、記憶のフィルムである。
半世紀と言う永い、余りにも永過ぎる時間を止めるほどに、その映像は鮮烈だった。
老人の想い、サクラの想い。長い断絶の間に繰り返された思慕と謝罪。
そして、少しずつ顕になっていく断層から、二人の記憶を掘り起こした律子。

すべてのギミックのハマり方が本当に見事。そして綺麗。
ともすれば強引な展開になりがちなところを、とても丁寧にゆっくりと描かれていて
ゆっくりと静かに、沈み込むように律子の心情に引き込まれて行く感覚を覚えました。
こらぁすげぇ。最後の段落の『……泣くな!』が、もう最高!

ありがとうございます、と言わざるを得ません!

No title

感想ありがとうございます!

ギミックがハマっていると言って頂けたのは何よりの褒め言葉です^^正直、今回は私情で投稿が遅くなってしまい、四日で仕上げなくてはならないという体たらくでしたので、そう感じて読んでいただけたのであれば、幸いです。

これは素敵だ。

面白かったです。
月並みな言葉で申し訳ないですけれど。

結構なボリュームのある話だったんですが、
うまい具合に散りばめられた仕掛けとヒントが面白く、
読み込みながら次を、次をと求めた格好です。

律子の律子らしい所が全編通じて発揮されており、
春香や千早もまた、実に良い役どころでした。
もちろん、時を越えて再会した恋人達も。
春香と千早のネタが挟まり、ギャグで終わらせるのかと思いきや、
最後にもう一度――。軽く泣きそうになりました。

些末ながら、1点だけ気になったのは「地角整備」という単語でしょうか。
一般的には「区画整理」かなぁ、と考えてしまいました。

とはいえ、そんな事どうでもいいレベルで面白かったです。
最初の段落の春香の「一人で遊びにいかないでくださいよぉ」とか。

No title

感想ありがとうございます!

本来は五千文字くらいで終わらせたかったのですが、話を書いていく内にそれでは収まらず・・・。まだまだ精進が必要です。話にギミックをつけるのが好きなので、それを面白く思っていただけたのはとても光栄です^^最後の泣くなは書いていて自然にすっと出てきたので手直しせずにそのまま使わせていただきました。

区画整備についてはまさのその通りwご指摘ありがとうございます!本当に、お恥ずかしい限りです・・・。
トラックバック
トラックバックURL
コメントフォーム













管理者にだけ表示を許可する

FC2カウンター
プロフィール

o-van P

Author:o-van P
 しがない物書き。アイマスとロボットをこよなく愛する人間。どんな時でも仲間を求める習性がある。

ブログランキング&サーチエンジン
アイマス・攻略ブログ
Project・ZEROm@s
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Page Top

Powered by FC2 Blog |

FC2Ad

| Template Design by スタンダード・デザインラボ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。